SpaceX社、Falcon1 2号機の飛行後評価を公開−既報以外に不具合6件

SpaceX社(6/15)
既報の、1段回収失敗、及び、1/2段分離時の2段ノズルの段間部への接触と、これに起因した2段LOXスロッシングと姿勢制御系のカップリングによる2段姿勢変動に伴う早期ディプリーションの他に公開されたのは、以下の6件。

  • 2段LOX QD不離脱
    QDパネルとLOX充填配管が機体から脱落したが、チェックバルブがあり、LOX漏洩は発生していない。QD設計変更予定。
  • 1段QD(LOX,ケロシン,電気)離脱不良
    液系QDは計画より数インチ機体が上昇後分離。電気QDはランヤードが切れた後地上側コネクタバックシェルで分離した。QDパネルの設計変更予定。
  • 1段PU制御電子ファイルの間違いによる性能低下
    1段エンジンコントローラにアップロードするPUファイルを間違えたため、初期の混合比が低く、後期に高くなった。このため、初期の推力が低下し、予測より高度・速度とも低くなった。コンフィギュレーション管理の見直しを行う。
  • 1段LOXタンクアレッジ圧力低下によるポンプキャビテーション発生
    燃焼停止付近でノミナルタンク圧より低下。タンク圧設定と圧力制御値を見直す計画。
  • 2段PU制御異常
    2段のPU機能が正しく機能していなかったが、原因は調査中。
  • フェアリング分離用Maromonクランプ機能不良
    テレメータ上はクランプを切り離す爆発ボルトは作動しているが、画像からは、落下するクランプ同士が繋がっている様子が確認された。詳細調査中。

なお、既報の不具合についても調査結果が報告された。

  • 2段ノズルの段間部との接触
    分離アクチュエータは正常に作動したことを確認。原因は分離前と分離後の2段の回転が予想を超えていたこと。この原因の一部はMerlinエンジンが燃焼停止時に重心と若干ずれた方向を向いていたことだが、主要因は、機体高度が予測より低く、迎角が予測より大きかったことによる、2段とフェアリングへの空力荷重によるものと推定。混合比と加圧用Heのマージンを見直す計画。また、次号機以降推力とISPの向上したMerlin 1Cエンジンを採用するため、分離高度は大幅に上昇し、空力荷重は問題にならない見通し。
  • 2段制御不良
    原因は当初推定通り。Falcon 1の2段にはアンチスロッシュバッフルを搭載していないが、1段同様に装着する計画(宇宙では外乱はないので当初シミュレーションでは外乱を考慮していなかったとのこと)。
  • 1段回収不良
    テレメトリが高度50km程度までしか取れていないため、高度4kmで開くパラシュートの作動結果は不明。GPSの機能不良で場所の特定ができなかったことについては、三重冗長にした上で、再突入時の熱対策を強化する予定。

コメント

とても第3四半期に3号機が打てる状況に思えませんが、公式サイトにも次号機については何もコメントがありません。

その他、以下の情報を探してみたのですが、探し切れませんでした。

  • Merlin1Cエンジンの使用時期
    公式には2009年からとなっていますが、報告では "Merlin 1C engine that will be used in all future flights" となっています。開発状況と適用号機の最新情報を調査中。
    Merlin1C(再生冷却ノズル+燃焼室)を採用したFalcon1は3号機からで、Merlin1C+ストレッチタンクのFalcon1eが2009年からでした。なお、Falcon1eのMelinエンジンは10klbs程度推力UPする予定。
  • PU制御の詳細
    報告書によると1/2段ともPU制御を実施しているようですが、どんな制御か調査中。