SpaceX社, Falcon 9/CRS-7の打上げ失敗調査状況を発表。飛行再開は9月, FHは来年春に延期

SpaceX(7/20) SpaceNews(7/20) NASA Spaceflight(7/20)
2段LOXタンクの中の気蓄器を支持しているストラットのうちの1本が飛行荷重3.2gで規定の1/5程度の強度で破壊し、これに伴って気蓄器が外れたことで、LOXタンク内にヘリウムガスが放出されて過加圧になったものと推定。同じストラットは1機のFalcon 9 の中で数百本使っているとのこと。是正処置として、これらのストラットの使用をやめて設計変更するとともに全数試験を追加する。また、ハードウェア全般の検査を強化する。今後、その他の要因の可能性を排除したうえで、9月に飛行再開し、今年打上げ予定だったすべてのミッションを打ち上げる予定。
原因と考えられているストラットはSteel製(編注:おそらくステンレス製)で、試験の結果、グレインパタンによっては強度が極端に低下するものが見つかったとのこと。このストラットは購入品。飛行再開に向けては、設計変更(Inconelへの材料変更の可能性もあり)と、全数試験の追加を行う予定。
また、同社はFalcon 9の飛行再開に全力を投入するためにFalcon Heavyの初号機打上げを来年春に延期する。
なお、飛行データからDragonは海水に着水する直前のリンクが切れるまでテレメトリを送信していたことがわかっており、今後、緊急時にもパラシュートを展開できるようにソフトウェアを改修する予定。

Elon Musk氏は現在の従業員についてこう語っている:

“The vast majority of the people at the company have only ever seen success,” he said. “When you’ve only ever seen success, you don’t fear failure quite as much.”

NASA Spaceflightによれば、問題のストラットはこんな形(この写真は1段のものだが、2段も同様とのMusk氏のコメントあり)

その他の詳細情報:

  • He供給系のシステム圧力は一度低下したのち、もとの圧力に復帰した。気蓄器が外れて漏れた後配管が折れ曲がって開口部下流が閉塞したのではないかと推定している。
  • 異常発生からテレメトリ喪失までの時間は0.893sしかないため、事象の時系列を復元するのに時間を要した。