DIRECT構想の解説(前編)

SpaceReview(5/19)
NASAのAres計画の見直しを検討している有志(NASA内部のエンジニアや管理職の支援を受けている)のDIRECT構想の解説記事の前半です。構想の詳細は、www.directlauncher.comにあります。
DIRECTは、シャトルの製造・運用設備の流用が難しい完全な新規ロケットを2種類(Ares1, Ares5)開発する必要がある現在のNASAの計画を改め、シャトルの資産を可能な限り流用して現計画の半額で短期間にシャトル代替機を開発しよう、という提案です。具体的には、一種類のロケット(Jupiter)のバリエーションでISS/月ミッションに対応し、ISSへは上段を搭載しない(RS-68x2基/ET改修コア+4セグメントSRB 2本)バージョンのJupiter 120で、月ミッションには上段(J-2XDx2基)を搭載してブースタエンジンを1基増やしたJupiter 232で対応するという構想になっており、Vision for Space Explorationへの提案合戦時のLockheed Martin社の提案に近いものです。
特に本記事で問題点としてあげられているのは、シャトル退役から有人仕様Ares1運用開始の間隔で、2005年当時2年とされていたブランクは現状で約6年もあり、アポロ退役からシャトル運用までの6年間の頭脳流出の轍を踏むことになる可能性がある、という点です。これに対して、ISS対応コンフィギュレーションの多くをシャトル流用とすることで開発リスクを下げて空白期間を2年に縮めると共に、機体・エンジンともに新規開発で開発リスクの大きい新型上段は開発期間を確保することでプロジェクト遅延リスクを減らすという構想になっています。